4月20日のブログ記事に書いた通り、今日、「裁判員制度フォーラム」 に参加してきました。裁判員制度についてや、それに対する小坂の認識は上記記事を参照下さい。
50名の枠に関心を持って申し込まれた一般の方、区職員など68名が参加。9つのグループに分かれて、仮想の事件について議論を行います。「朝日新聞」、「常陽新聞」、「月刊総務」も取材に来ていました。
東京地方裁判所 刑事第4部 高麗 邦彦 部長からの挨拶の後、仮想の事件を題材にした再現DVDを皆で見て、それから9つのグループ(A〜G)毎に量刑を議論しました。裁判員制度の流れを理解できるこの再現動画「裁判員〜選ばれ、そして見えてきたもの〜」は、最高裁判所のこちらのページから見ることができます。他にも様々な動画がこちらで見られます。
各テーブルには実際の裁判官や裁判所職員が実際に参加して議論の議長役(皆が発言できるように)を務めていました。小坂のグループのテーブル(A)では高麗部長がその役を果たしていました。
「架空の事件」の内容は「台東区の会社の2階建て従業員宿舎で同僚5名が寝ている時に、同じフロアの部屋に放火して、逃げた男の量刑について。この男は地方から出稼ぎで東京に働きに来ており、3名の子と妻が故郷にいるが、仕事で何度かミスをして会社を首になったことがきっかけで、放火をした。男は自首をして、犯したことも認めており反省している。社長が早期発見して従業員をひなんさせたため、けが人は無いが宿舎が燃えたことで500万円の損害が生じた。」というもの(こちらも参考に)。検察は実刑5年を求刑、弁護側は執行猶予の寛大な判決を求めている。
各テーブルではまず、実刑か執行猶予か、実刑であれば懲役は何年かについて熱心な議論が行われ、時間が足りないほど。その後、各グループからの発表が有り、その結果が張り出されました。時間が足りずに結論を完全に絞れてはいませんでしたが、そのグループの大勢を書いた形です。
小坂の意見は「まず、放火は極めて重い犯罪。今回、早期発見でたまたま怪我人すら出なかったが、宿舎の5名が死亡し、さらに延焼して近隣でも死者が出たかもしれない。近くに燃えやすい科学物質を扱う工場が有ってそこに延焼すれば、大惨事になっていたかもしれない。自首したとはいっても、消火や通報などに協力した訳でもない。反省していることや家族の養い手であることを考慮しても、5年の懲役は免れないものと思う」というもの。高麗部長に聞いてみると、検察と弁護側の求めている量刑の間から外れた意見でも主張して良いとのこと。
同じAグループ8名の中では執行猶予を主張する方が1名、他の7名は2年半〜8年の懲役を求刑してました。
裁判員制度ではこうした議論を得て、さらに量刑を絞り込み、最終的に多数決で量刑を決めることになります。
質疑応答の時間に小坂からは「裁判員制度は一審のみに限定していることが、パンフレット等に書いていないがおかしいのでは?また、上告されて二審、三審と進んでいってそこでは裁判官のみの裁判で結論が出されるので、結局一審での裁判員の意見は反映されないのでは?」
と聞くと
「立法で決まったことであり、まずは第一審に導入されたこの状態をうまく機能させていきたい。」との簡単な答えが、裁判所の方から帰ってきました。後で高麗部長にこの点について聞くと「裁判の進め方で他の点についても変わる予定であり、一審で出された結論は、その根拠を覆すだけの大きなことが無ければ、簡単には否定できないようになる」といった趣旨の話をお聞きしました。
フォーラム終了後も、高麗部長から様々な細かい話を伺うことができました。現役の裁判官の方から直接話をお聞きする良い機会になりました。
制度の流れを実感して、話を伺ってもやはり矛盾した制度だと思います。
例えば「裁判官だけで行ってきた裁判は国民の感覚が活かされていないとの反省の元、この制度が始まった」とのことですが、「二審、三審においても裁判員制度の元で出された結論が、「尊重」されるとすると、法律の素人の感覚によって、その被告の運命が決まる」ことになり、それも可笑しな話ですし、二審、三審で簡単に違う結論が導き出されるようでしたら、一審で裁判員制度を導入し国民に負担と費用の浪費を押し付ける根拠が無くなります。
これから矛盾が噴出する制度かと思いますので、皆様もリンク先をご覧になって、お考えいただけると幸いです。決して他人事ではなく、自分の問題として。
最後に、アンケートでは制度への異議と共に「こうした映像を撮る際には このような有名俳優を使うのではなく、無名でも頑張っている俳優を使ってはどうか?」という「余計なお世話」と言われそうなコメントも書いておきました(笑)。
裁判員制度はやはり矛盾しているぞ!、という方はこちらの2つのボタンを押してください。