さて、5月22日の福祉区民生活委員会における議題の一つをご報告すると同時に「たばこ自販機を区役所から撤去できない現状」について書きます。
特定健康診査及び特定保健指導の実施内容
★これまでの老人保健法に基づき実施していた基本健康診査に代わって、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、平成20年度から実施する特定健康診査(以下「特定健診」という)及び特定保健指導(参考記事)について実施内容を報告。
1.特定健診
(1)対象者=国民健康保険に加入している
40歳以上75歳未満の者
(2)実施期間=平成20年7月1日〜10月31日までの4ケ月
(3)実施場所=区内医療機関
(4)実施の流れ
@区から対象者に受診券を個別に郵送(6月下旬)
A対象者は、区内医療機関で受診
B区から受診者に受診結果を郵送
2.特定保健指導
(1)対象者=特定健診の結果が、国の基準に該当した受診者を特定保健指導の対象者とする。ただし、糖尿病、高脂血症の治療に係る薬剤を服用している受診者は特定保健指導の対象から除く。
(2)実施期間=特定健診受診から、一定期間経過後、年度末まで実施。
(3)実施場所=荒川区保健所(がん予防・健康づくリセンター)
(4)特定保健指導業務の委託先
・国の外部委託基準を満たす保健指導機関に委託して実施するものとし、委託先はプロポーザル方式により選定済
・選定結果=委託先候補事業者=兜ロ健教育センター
代表者名=代表取締役 井田 章子
所在地=港区芝公園2−6−8
(5)実施の流れ
@対象者には、区から特定保健指導利用券を個別に郵送
A対象者は、委託保健指導機関に利用予約をして保健指導を利用
B対象者は、保健指導開始時に作成した行動目標や行動計画に則り、
食生活や運動の実践を実施。
※特定保健指導を利用していない対象者には、委託保健指導機関から適宜受診勧奨の案内を実施
C特定保健指導実施6ケ月経過後、実施状況を確認し、評価
(6)特定保健指導の内容
@健診の結果を判定し、保健指導の必要性(生活習慣リスク)に応じて、動機付け支援と積極的支援に階層化して実施
A支援の実施内容
・初回時に、個別面談(40分間)又はグループ面談(90分)を行い、対象者に合わせた、数値目標(体重を減らす量)を掲げ、目標を達成するための行動目標(無理なく達成のための日常生活の工夫)を作成
・積極的支援では、その後3ケ月以上、行動計画の実施状況の確認と行動を維持するための手紙、電話による働きかけや励まし、賞賛などの継続的な支援を実施
3.その他の健康診査
(1)後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の加入者については、特定健診に準じて健康診査を実施
(2)無保険者(生活保護受給者)については、特定健診及び特定保健指導に準じて、健康診査と保健指導を実施
今後の予定
平成20年6月下旬 区報・ホームページによる周知
受診券の送付
7月 特定健診の開始
8月 特定保健指導の開始
(以上が議題の説明です)
小坂からは
「血税を使ってこうした保健指導を行う中に、喫煙の有害性や禁煙治療への誘導などが含まれると考えるが、その点について具体的にどのようなものを想定しているのか?副区長にお聞きするが、以前の委員会において、区役所地下食堂入口に煙草の自販機が設置されていることが区の「健康推進戦略本部」としての姿勢と自己矛盾すると指摘した。その際に副区長からは「指摘をふまえ、関係部署と相談する」との答弁がなされたが、結論は?多額の血税を使い「健康に配慮した生活をしましょう!」と指導する一方で、その本拠地「健康推進戦略本部」の区役所の地下でタバコを売っているのでは「健康推進戦略本部」の名前が廃ると思う。こうした点でも区としての姿勢をきちんと示した上で保健指導を行うべきであり、再度、撤去を求める。」といった発言をしました。
しかし、副区長からは「先日の委員会での小坂委員からの指摘を受けて所管の部署(管理部職員課)を通じて荒川区職員互助会(たばこ自販機設置者)に問題提起をした。結論はまだ聞いていない。互助会としての組織としての考えも有ると思う。今日の問題提起を受けて、再度、働きかけてみるが、以前設置されていた5階の自販機も撤去しており、地下1階のたばこ自販機は区役所で唯一であり、喫煙者の方もおられるので難しいと思う。」
といった答弁。荒川区職員互助会と区役所は別組織ですが、互助会の役員は区役所の管理職が名を連ねており、実質的に同一主体とも言えます。後ほど、互助会を所管する職員課長にも同様の問題提起をしたのですが、「喫煙者もおられるし、喫煙自体は法律で禁止されている訳ではないので・・・」というお答・・・。
区と実質一体の互助会という組織が区の「健康づくり」の方針と明確に反する「たばこ自販機」を撤去することすらできないようで、何が「健康推進戦略本部」なのでしょうか?
写真は5月16日19:30にNHKで放送された、メタボ対策についての問題点を扱った番組の画面です。荒川区の取組(あらかわ満点メニュー等)が紹介されています。こうした取り組みは多いに進めるべきですが、それだけでは駄目です。
区でいろいろやっている健康づくりの取組みの現状は結局、「区民の皆様からさほど異論が出ないこと」ばかりのような気がします。喫煙する場をもっと「公共団体として制限する」といった賛否両論になることには手を触れない「吸わない方がいると同時に吸う方もいるので・・・」という区の姿勢。結局、当たり障りの無い範囲でしか「健康づくり」政策を実施できない区の姿勢では、さしたる効果も期待できないでしょう。
さしたる効果が出ないということは・・・。先の番組でも扱われていましたが、荒川区の国民健康保険組合に最大約2億6500万円の課徴金が課されるということです(関連記事)。今年4月から始まった新たな制度において、国は各健康保険組合に対して「特定検診の受診率を65%以上にすること」や「メタボと判定される方を1割減らす」といった目標をはじめ様々な目標を達成しないと、「後期高齢者医療への拠出金」という名目の「課徴金」を1割まで増額される仕組みになっているのです。「区の姿勢」が既述のように、なあなあなレベルでは、目標達成など無理な話です。
「公共団体」として、役所から煙草自販機を撤去(実例:西宮市など。関連情報もどうぞ)したり、庁舎全体(荒川区は各階に喫煙所有り・・・)を禁煙(事例:北海道、留萌市、長野県、大阪府、広島市、などなど多数)にするという、反対の声も当然予想されることにもあえて踏み込んで「区としての健康づくりにかける決意」を示すことこそ、今、求められていると確信しています。
喫煙者の読者もおられるので、反感をもたれるかも知れませんが、今後も、禁煙の徹底については正面から取り組んで参りたいと思います。
荒川区は地方自治体として禁煙施策を明確に打ち出し、決意を示すべき!、という方はこちらの2つのボタンを押してください。