NPO法人雨水利用市民の会 理事長からの開会挨拶の後、雨水利用自治体担当者連絡会代表幹事(この会には129の地方自治体が参加)、墨田区長、国土交通省の責任者より挨拶。
会場となった墨田区は、昭和57年の国技館及び周辺施設への雨水利用徹底導入以来、全国でもトップレベルの雨水利用が行われている地域です。地域と自治体が連携してのそうした取り組みは素晴らしいものです。
墨田区の押上・業平地区に平成23年に完成する「東京スカイツリー」においても、墨田区が事業者である東武鉄道へ雨水利用を強く働きかけて総容量2,635トンの地下雨水タンク(タワーや周辺のビルに降った雨水を貯留)を設置して周辺・屋上部の緑地への散水やトイレの洗浄水に活用する他に、その地域での都市型洪水の防止を図ることになっているそうです。
墨田区で特徴的な取り組みの一つとして、500平米以上の建物に対して、区の開発指導要綱で雨水の貯留、浸透及び利用を指導してきたことで、147ものビルや集合住宅で雨水貯留や浸透の設備が設置されました。今年の7月には一定規模以上の集合住宅への雨水利用を条例化していますので、さらに雨水利用が進むものと思われます。
また、墨田区の助成制度で設置された家庭用小型雨水タンクは210基で総貯水容量は12,700トン。
基調講演は高橋 裕東大名誉教授( (社)雨水貯留浸透技術協会 会長)から「雨水こそが地球を救う」というテーマ。昨今の集中豪雨で被害が相次いでいることについて、「日本人が本来持っていた、雨水と共に生きる姿勢を忘れたことへの警告だ。水を循環利用する姿勢を鳥戻すべき」と力説。
そうなんですね。例えば昭和30年代には雨水の50%が土の地面から地下へじわじわ浸透し、50%が下水道から川へ排水(雨がふってすぐに流される)という状況でしたが、平成に入る頃には土の地面からの浸透が25%、下水道からの排水が75%と変化したことに加え、集中豪雨が増えた為に、雨が降ってから、下水道や川が急激に増水するようになった訳です。それを緩やかにするのが、雨水貯留であり、雨水の地下への浸透設備です。個人や地域がそうしたことにもっと意識を持ち、導入していくことを自治体として積極的に関与すべきと考えます。
休憩時間にはロビーで様々な企業が、雨水利用や雨水浸透の製品をPRしていました。洒落た雨水利用タンクや雨水を川に流すのではなく、地下に浸透するますなど。 「雨水利用事業者の会」のホームページに多くの製品事例が紹介されていますので、参考までにどうぞ。
後半は、様々な立場の方が参加してのシンポジウム。行政と地域住民が積極的に雨水利用に取り組んでいる新潟市の事例をはじめ、多くの具体的な話が聞け、とても参考になりました。荒川区においても、雨水利用の補助金だけでなく、新規建築物に雨水利用や浸透施設を設置することを条例に盛りこむことなどを求めていきたいと思います。
「雨を捨てる」のではなく、「雨を活かす」荒川区でありたいですね。
雨水利用の参考になるHPもどうぞ。
雨水利用の用途はこのように多彩です。雨水を下水道に直結で排水するなんて本当にもったいないことです。
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