2010年10月20日

那須高原の区関連保養施設(板橋区、北区、荒川区)の比較視察報告報告

 昨日は福祉区民生活委員会の行政視察として那須高原に有る荒川区民保養施設「グリーンパール那須」の在り方について考える為に那須高原に有る3つの自治体の保養施設を訪れました。

 まず、小坂の考えを書いておきますが、行政が区民向けに税金を使って保養所を持ったり多額の補助金を支給することは止めるべきです。行政が本来やるべき仕事から逸脱していると考えます。

 7月15日のブログ記事「区の保養所は売却すべき」(福祉区民生活委員会での質疑)にも「グリーンパール那須」の現状や小坂の問題提起を書いてますのでお読みいただければ幸いです。
 
 8:30に荒川区役所前をマイクロバスで出発。那須高原に11時頃到着。まずは、板橋区の協定保養施設「那須高原ホテルビューパレス」を視察。

 今回の視察は3つの形態の異なる保養所を比較できる形。

 板橋区はこちらのHPに詳細が書かれている通り「以前区が所有していた保養所を民間に売却したという経緯が有る指定保養施設(3施設)」と「板橋区と協定を結び、宿泊施設は宣伝にもなるし、板橋区民は少し割引を受けられるという協定保養施設(25施設有ります。区からの補助などは無し)」「姉妹友好都市のパートナー保養施設(交流都市6つの自治体の観光協会や温泉・旅館組合に加入する施設)」の3つが有ります。

 今回訪問したのは2番目の分類である「協定保養施設」。区と宿泊施設の関係はとても弱い形です。25の宿泊施設と区の間でお金のやり取りは無し。若干安くなる板橋区民料金があるのですが、この協定を使って宿泊する板橋区民は極めて少ないとのことでした。 

 次に訪れたのは北区の教育施設である「那須高原学園」を学校で使わない時に広く一般から安く宿泊を受け入れている「北区しらかば荘」。学校で使う時期は7月、8月。この区立施設は指定管理者という運営代行を民間に任せる形で「ニッコクトラスト」が運営しています。その支配人は兎に角、「学校で使う時はそのモードにして備品を素早く移動し、一般のお客様が来る時は普通の宿泊施設のサービスを提供できるように素早く模様替えをする」という姿勢が徹底していました。

 メリハリをつけて使えるものはしっかりと活用するその姿勢はやはり民間の企業の良さだと思います。

 「学校で林間学校として使う日」にはある大部屋を畳敷きの宿泊部屋として使い、一般の方が宿泊する(高齢の女性が連泊することが多いそうです)日にはそこにブロック型カーペット(小さなカーペットを組み合わせて使うもの)を畳の上に敷く。長椅子やカラオケセット、机も運び込む。ロビ―コーナーもお土産店を開店。すっかり様変わりする訳です。

 小規模設備改修なども含め、9200万円を北区がニッコクトラスト鰍ノ支払いながら、それに加えて施設利用者払うの宿泊費等(21年度は8818万円)の合計1億8千万円程度で指定管理者が年間運営しているとのこと。

 利用者からも高い評価を得ているそうです。「教育施設」という枠に囚われずに、北区民を中心に施設を有効に利用していただいている柔軟な姿勢は評価に値すると思いますが、やはり毎年9200万円(教育的な利用も含む)も区の持ち出しをして、宿泊施設を保つことに一定の違和感も感じざるを得ません。

 最後に荒川区の保養施設「グリーンパール那須」を訪問。建築後27年が経過していますが、改修されており綺麗です。老朽化に伴うメンテナンスの経費増、平成24年に1890万円、平成25年にも同額を払って温泉使用権の更新があることなど考えても、売却へのタイミングを可能な限り早く見つけるべきです。保養所以外の有効活用の策も同時に考える必要もあるかと思います。

 平成14年度から日本ビューホテル事業鰍ノ無償貸し付けをして運営をしてもらい、荒川区在住在勤者が1人宿泊すれば3000円の補助を区が出す仕組み。荒川区在住在勤でない場合は補助は当然出ません。現在、利用者の内訳として荒川区在住在勤と区外の方は半々です。それにしても、集団で宿泊する際には代表者のみ身分を確認して、同行者は「私は荒川区在住在勤です」と言って住所氏名を書くとそれはそのまま信用するのみ。身分確認はしないそうです。

 「保養所に泊るのに全員の身分確認をするのはなじまない」という声もありましたが、小坂は「今の保養所としての運営をするのであれば、身分確認は全員すべき」と考えます。一人当たり区民の税金を1人当たり3000円の補助として「荒川区民向けサービス」として出すのに「本当に区民かどうか確認しない」のはおかしいと思います。

 グリーンパール那須の運営にあたっての現状や課題を詳しく聞き、活発な質疑応答がなされました。

 23区について「行政が区民向け保養所をどうしているかの資料から簡単に書くと以下の通りです。

・17区=保養所を持っている。ただし、区の職員が運営している例は無く、業者に施設を貸与して運営してもらうか、指定管理者として運営を代行してもらっている。

・3区=独自の保養所を持たず、既存の民間宿泊施設の部屋を必要数借り上げ、それを安く区民に開放している。

・3区=保養所を廃止した。(台東区、世田谷区、足立区)


 タイミングを見て保養所は売却処分をすべきであり、行政はこうした「本来やるべき業務」と異なる仕事から手を引くべきと考えます。売却ができるまでの間は、「他の自治体の保養施設との住民の相互利用」などを暫定的に行ったり、真に行政としてやるべき施設に転用をできないか真剣に考えていく必要が有るのではないでしょうか。

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スカウター : 荒川区議会議員小坂英二の考察・雑感
posted by 小坂英二 at 14:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 区政全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする