★屋外の猫対策事業のこれまでの取組状況等について
屋外の猫対策事業の開始から2年が経過したので、これまでの取組状況等について報告。
★実績について
区は「荒川区猫の屋外での活動の適正管理等に係る地域活動の支援に関する要綱」に基づき、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費用の助成など、登録団体の活動支援と区民への啓発等の取り組みを積極的に行ってきた。
その結果、多くの助成実績を上げ、不幸な猫の誕生を相当数抑えるとともに、団体活動に対する地域の理解も徐々に進んでいる。特に熱心な活動が行われている地域では、猫の生息数が減少するなど顕著な成果が認められ、町会や近隣住民等からも高く評価されている。
一方、団体の活動区域が区全体の2割程度に留まっている中で、無責任な餌やりや屋外飼養される猫による繁殖、捨て猫が後を絶たないという現状もある。
1 飼い主のいない猫対策(平成22年10月末現在)
(1) 登録団体の現況
・登録団体数 53団体394名
(2)不妊・去勢手術費用の助成実績等
・助成限度額 雌猫 17,000円(妊娠猫は25,000円)
雄猫 10,000円
・助成実績 (頭)
20年度 21年度 22年度 合 計
雌猫不妊手術 130 181 69 380
妊娠猫 11 27 38
雄猫去勢手術 105 143 76 324
20〜22年度合計 742
※獣医師会の全面的協力により、すべての手術が限度額の範囲内で行われ、耳カット費用や入院費などを除き団体の負担はない。
(3)その他の取組
・地域住民の活動への理解を得るため、団体登録証と腕章を交付し、合わせて区報やホームページ、CATV等での広報も行っている。
・猫の捕獲用器具の貸出件数 53台(32団体)
・保健所掲示板の開放等を通じ、里親探しに関する情報提供
2 飼い猫の不妊・去勢費用の一部助成事業
屋外の猫対策の効果を上げるためには屋外飼養される飼い猫による繁殖を抑制する必要があることから21年度に事業化した。
・助成限度額 雌猫 6,000円 雄猫 3,000円
・助成実績 合計 137頭
3 団体の活動区域と苦情・トラブルの状況
課題について
1 地域理解の促進
現在の団体の活動区域は区全体の2割程度である。団体の新規登録の伸びが見られず、現状では区全域への活動の広がりが期待できないなかで、この事業を推進していくためには、地域の理解と協力が必要不可欠である。
今後も広報活動による啓発を行うとともに、無責任な餌やりなどによる苦情やトラブルが多発する地域では、町会等に粘り強く働きかけ、地域ぐるみの理解促進と活動への参画を求めていく。
2 飼い主に対する啓発
屋外の猫の多くは、無責任な飼い主が遺棄した猫や屋外飼養猫による繁殖によるものが原因と言われており、飼い主のモラル向上を図る必要がある。このため、区が町会や地域と連携し、無責任な飼い主に対する地域の監視の目を育んでいくとともに助成制度の周知を図り、飼い猫の不妊・去勢手術を促進するなど啓発に努めていく。
★今後の予定
12月〜 登録団体及び獣医師会との協議
連合町会長及び問題が顕在化している町会での説明
★登録団体のうち、飼い主のいない猫の手術数 実績
@86頭(東尾久) A61頭(荒川) B59頭(荒川)
C48頭(荒川) D44頭(西尾久)E42頭(東尾久)
F42頭(町屋) G42頭(町屋) H33頭(東日暮里)
I27頭(西日暮里)J21頭(町屋)
※耳カット費用は(1000円)程度。
(小坂からの質疑・答弁)
小坂:助成の対象外となっている入院費の金額や入院期間はどの程度か?
生活衛生課長:入院費用については自由診療であり、動物病院によって異なる。正確に把握していないが、一日あたり3000円〜4000円。入院期間は1日〜3日程度。
小坂:地域猫活動団体の多くは熱心に適正な活動をされ、実績を挙げておられると認識している。独善的な活動によって地域と摩擦を起こしている事例など無いか?
生活衛生課長:猫そのものに対して嫌悪感を持つ方がいるので、そうした方からの苦情も有る。その他に、登録団体にはなっているものの不妊去勢に踏み、込めず、ただえさを挙げるだけの団体もいるので、そうした団体に対しては手紙等を通じて「不妊・去勢手術」まで活動を強めていただくように要請している。
小坂:登録団体になったのであれば「腕章や、先ほど話に出たジャンパーなどを必ず着用する」かつ「どの団体に所属をしているのかを明示」する位置付けにした方が良いのではないか?そうした明示が無いと、「無責任なえさやり」をしている方と区別が難しい。
生活衛生課長:腕章等の着用については機会が有るごとに、働きかける。もともと、ボランティアで活動をしている団体なので、それを義務化するというのは難しい面も有る。
小坂:里親探し、迷子のペットの情報の収集、その広報の現状は「保健所前の掲示板への掲示」以外ではどのような形か?
生活衛生課長:都の動物愛護相談センターでは迷い犬等の情報を掲載している。保健所の窓口に閲覧ファイルも置いている。
小坂:区のHPにそうした情報を掲載した掲示版をリンクして設置し地域の方に情報がよく伝わるようにしてはどうか?その掲示板の運営は活動団体の力を借りて行うのが良いと考える。
生活衛生課長:荒川区HPへの荒川区における里親探しのページ等へのリンクは難しくない。掲示板設置について研究をしてみる。
小坂:野良猫の発生を防止するには、国や都に対して根本的な規制をかけることを求めるべきと考えるが、23区が一致して現場の状況を踏まえて問題提起をするなど、そうした動きはしているのか?
生活衛生課長:今のところ23区課長会でに猫対策について議題にあがるが、都などへの問題提起までは繋がっていない。野良猫発生の根本原因が何かもまだまだはっきりしていない。今のところ23区全体で問題提起をするというのは難しい面が有る。
小坂:例えば、インターネットでのペット販売や、ペットショップの店頭での安易な購入ができないように規制をすること、また、責任の所在が明確になるように販売の際に体内にICチップを埋め込むなどの制度を導入すべきと国や都に対して求めてはどうか?
生活衛生課長:ペットショップの問題については、海外の事例は把握していない。まずは、地域猫活動を地道に続けていきたい。
保健所長:犬は狂犬病予防法でかなり規制をされてきた。猫については公衆衛生上のリスクは犬に比べて少ない。23区内では荒川区のような地域猫活動をしていない自治体も多い。まず、23区のそれぞれの自治体で荒川区レベルの「地域猫活動」などやるべきことを問題提起し、それが一定レベルに達してからの話かと思う。今すぐに23区で一致して都に要望をできる段階ではない。
小坂:23区の取り組み段階が様々で都などへの問題提起の前の段階との認識のもと、地域猫活動を他の自治体にも進めていかねばならないという保健所長の認識は理解した。しかし、「ペットショップ規制の問題」についても同時並行で問題提起を進めて欲しい。
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