2009年06月08日

震災対策に多くの問題提起

 今朝は震災対策・危機管理調査特別委員会に出席。冒頭に昨年度の委員会活動実績について書面で報告が有りましたので、委員会の視察は「予算に合わせて遠方に行くのではなく、近隣の先進事例をもっと頻度を上げて視察すべき」との趣旨(=文教子育て支援委員会でも同様の指摘をしました(報告は6月5日のブログ記事))で発言をしました。委員長からは「意見として聞きました」との返答のみ。

 今日のメインの議題は3つ「防災事業」と「防災事業」と「新型インフルエンザ対策」とされていましたが、午前10時からの質疑が正午を過ぎても一つ目の議題の最中といった状態なので、残りの2つの議題は後日、委員会を改めて開いて質疑するということに・・・。小坂としては昼食を挟んで引き続き議論をしたかったのですが・・・。その一つ目の議題「荒川区の防災事業概要」についての小坂の質問と区担当者の答弁の概要を以下の通りご報告致します。文中に貼ったリンク先をご覧になりながらお読みいただければ幸いです。防災対策について、皆様からも問題提起をいただければ幸いです。

(小坂からの質疑と答弁の概要)
小坂:防災事業の概要の一覧表にAED設置の現状の報告が無いが状況は?以前から申し上げているが、AEDの設置場所を地図付きでHPに掲載をすべき(例えばこちらの事例(呉市泉大津市京都市)のように)。日頃から、AEDなどの設置場所を確認しておきたいという方がいると認識しているが、日頃から設置場所のPRを進めておき、いざというときに速やかに使える状況にすべきと考える。また、コンビニ等夜間も活用が可能な場所へのAED設置促進を区が打ち出したが、その進捗状況はどうなっているか?AEDについては区施設のみならず、町会事務所や民間施設にも設置されており、そうした情報を収集すると共に区民や関係者からも設置の状況を届け出てもらうような呼びかけをして、実態を可能な限り把握した地図を作成しHP等で公開すべきと考えるがどうか。

防災課長:AEDについては平成20年度末の時点で179台設置してある。区施設に設置しているAEDについては各施設の所管課で管理している。平成21年度には区の方針として夜間にも使える場所に6台を予算化している。そのうち覚書を起案し、これから区長決済を受ける段階のものとして、24時間スーパー、ガソリンスタンド、レンタカー会社へのAED設置がその内容である。AEDの場所を示す地図も含めたHPへの掲載は庁内の各関係機関と連携して進めていきたい。

小坂:私は危機管理産業展などへの参加を毎年して、展示されている浄水器は極めて高機能で以前に比べて安価で小さなものが有る実物を見てきた。かなりの量の不純水を飲料水に変えることができる機能を持つものである。水の確保は広大な南千住給水場等やペットボトルでの備蓄なども有るが、選択肢を増やすべく、そうした浄水器などの機械を備蓄してはどうか?区で備蓄をしている濾過機の機能はどの程度のものか?

防災課長:区内には濾過機を8台配置している。最悪、浄水の水が足りない場合でもプールの水を浄化して使えるようにできる。濾過機の機能は今、手元に資料が無い。


小坂:以前から繰り返し問題提起をしている(参考記事をいくつか)広域避難場所(田端尾久操車場)の再検討の現状は?

防災課長:4月に新任の防災課長となってからは、副区長より広域避難場所の再検討について早期に結果を出せるようにとの命を受けている。近隣の町会の方々の選択肢を残しながら、進めていくべきと考える。尾久駅長と連絡をとり、北区の防災課と共に現場を見学した。難しい面も有るが、あの広大な土地、JRの社屋が存在すること、8個列車が泊っていることからその活用も考えられること。広大な敷地への入口少なさや街との高さの差の問題など検討をしなければならない点も多い。


小坂:操車場の電車の車両を活用することなどは、私は逆に危ないと考える。阪神大震災の際に電車が脱線して倒れている写真を鉄道雑誌で拝見した。震災時に電車を活用してという危険なことは考えるべきでは無い。田端尾久操車場が広域避難場所として指定されているが、指定されている範囲の再検討、JRの協力体制について現状は?

防災課長:車上の活用にについては、JRの担当者も首を傾げていた・・・。JRは民間事業者であり、広域避難場所としての体制整備については区としての後押しが必要と考える。


小坂:田端尾久操車場に田町駅周辺の車両基地の機能が移ってくるとの話を聞いたが、そうした話は把握しているのか?そうなると田端尾久操車場に置かれる車両が増え、益々広域避難場所としての適性が下がると考えるがどうか?

防災課長::田町操車場の機能の一部移転の件についてはまだ聞いておらず、情報収集をしていきたい。


小坂:細かい話であるが、ミニ備蓄倉庫におけるラジオ付きライトや蛍光灯付きライトの保管の際に電池は抜いているか?いくつかの防災自治組織では乾電池を入れたまま保管をして、訓練の際には液漏れ等で使えないということも有った。乾電池の備蓄が少ないことも有り、こうした細かい点も徹底して欲しい。

防災課長:それぞれの職員が手分けをして適切に管理をしている。


小坂:本会議でも提案をした学校の休業中の「親子防災教室」などに防災センターを活用する取り組み(参考ブログ記事)の検討状況はどうか?町会の役員などを対象とした研修を行われているのは聞いているが、若年層も対象にしたこうした取り組みを強化していただきたい。先日、尾久消防団の操法大会が行われたが、こうした場をもっと子供達に見てもらえるしかけづくりをすべきと考える。

防災課長:昨年末には小学生に防災手帳を配布した。防災センターでは積極的に町会を対象として講習会を行っているが、地域の町会の防災活動の中において子供達を呼び込める工夫をしているところ。消防少年団などの活動も有る。9月6日の総合震災訓練については詳細が決まっていないが、特に防災意識に無関心な層に力点を置いた取り組みをしていく方向。訓練の工夫も必要だと考えている。消防団の操法大会は都の所管であるが、こうした訓練成果の発表の場については、多くの方に見ていただけるように今後更に周知PRをしていきたい。今後進めていくD級ポンプ(参考ブログ記事)の配置は防災訓練までに行い、防災の日に使うということも考えている。防災教育の端緒としていきたい。


小坂:数年前から申し上げているが、震災等が発生した際に区内に在住し、区外に勤務している医療スタッフの災害時協力を得るための登録制度の整備についてはどのような状況か?区内の医療資格保持者の力を震災時に速やかに借りられる体制の整備を早期にお願いしたい。

防災課長:その点については防災課は対応していない。
区民生活部長:指摘をされた点について、検討をした中で、現在医療機関に勤めている方は区外の医療機関で有っても可能な限りその勤務先に駆け付けるように言われている例が多く、自主的にこうした制度に登録をしてもらうのは難しいと考える。しかし、医療資格を持っているがそうした仕事に就いておらず家にいる方で家族の安全が確保された後などに協力を得るような取り組みについては検討をしていきたい。


小坂:下田の臨海学校や清里の施設について、災害弱者のうち、しばらくそうした落ち着いた場所に避難をする枠組みを予め想定して用意をすべきと申し上げて来たが、その点はどのようになっているか?そうした活用をする意思があるのであれば、予めどのような手段、ルールに応じて行うかを決めておくべき。

防災課長:そうした点については、入っていないが、長期に渡る避難についてはそうした点について考えていかなければならず、時間。
区民生活部長:指摘のように避難先については多様な選択肢を持っているという点が重要。交流都市からどのような協力を得られるかを含め、全体の枠組の中で検討をしていきたい。

小坂:震災発生後の疾病対策、様々な感染症予防などについて、今までの各地での震災ではどのようなことが主に行われてきているのか、また荒川区においては特にどのような点について留意していくのか確認をしたい。
健康部長:避難所の感染症予防策については、多少体が弱い方もいるものの、その時々の状況に見合った対応をしていくことになる。

小坂:ミニ備蓄倉庫(主に学校内に設置)に入る為の鍵は誰が保持しているのか?以前の質疑で、緊急の場合は学校のガラスを破って建物内に入り、必要な資材を使っても良いとの答えを受けたことがあったが、一般の方がそうしたことをするのは実際に難しいと思う。そこで、ミニ備蓄倉庫に入る為の鍵を各地域と密接な繋がりが有る消防団の団員が責任を持って保管をしておき、速やかに必要な機材を出して活用をする体制を整えてはどうか。また、区議会議員にもそれぞれの住まいの近隣のミニ備蓄倉庫2,3ケ所の鍵を渡しておいて、それぞれの議員の事情が許せば解錠して住民との橋渡しをすることも考えて欲しい。区の職員や学校施設管理者がすぐに駆け付けられない夜間や早朝に、近隣の人間が速やかに必要な機材を使えるように、日頃の安全管理に支障を来さないという点とのバランスを踏まえながら、様々な選択肢を予め用意をしておくべきと申し上げる。

防災課長:ミニ備蓄倉庫に入る鍵は区職員と学校管理者が保管している。小坂議員から寄せられたことについて検討したい。指摘をされた二重三重の対応ができる用意をしていきたい。

★防犯事業について★(議論は後日となりましたが、当日配布された資料への注文と新たな資料提出の依頼です)

小坂:各自治体内における犯罪件数について資料が配布されているが、自治体ごとの件数では客観的な比較にならないのではないか?昼間人口10万人あたりの発生件数などで比較すべきではないか?犯罪発生件数が少ないランキングの表に人口が60万、70万人いる自治体、世田谷区や練馬区、大田区などが出てきていないのはある意味当然で、昼間人口が少ない自治体が上位に来るのもある意味当然。こうした客観性を欠く数字で「犯罪が多い、少ない」ということを議論する材料にはならないのではないか?昼間人口の何人当たり何件が発生しているかといった観点の資料を次回の委員会までに配布をしていただくように要望する。

生活安全部長:犯罪の発生件数が23区中何番目に少ないかを競っているわけではない。ただ、客観的な比較をする資料として人口比などの視点を入れたものが必要という指摘は理解できるものであり、そうした観点に叶った資料を後日の委員会には用意する。

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スカウター : 荒川区議会議員小坂英二の考察・雑感
posted by 小坂英二 at 16:47| Comment(4) | TrackBack(0) | 区政全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ミニ備蓄倉庫の中身って何でしょうか?備蓄というくらいだから非常食、水、毛布、医薬品の類いとは思います。ただ、複数の人が鍵を管理しようとも、倉庫の中身に手を付ける程の震災が起きた時には相当の混乱があると思うので、いっそのこと施錠しない、というのはどうでしょうか。学校内ということで、ある程度は盗難などに対する管理できると思います。
子供たちのイタズラの餌食になりそうな気もしますが。
Posted by tnt at 2009年06月08日 20:20
非常時にパニック状態をより大きくと馬鹿が出ることが一番怖い 冷静さの中にも困る事は都会に限ってだがホームレス対策避難場所に入り込まれたなら匂いだけでも気分悪くなり病にかかる者が居たと神戸の人に聞いたことがある 避難の際持ち出した貴重品の置き場所、大切なものは飲料水、常用している薬、下着テッシュペーパーなぞで食べ物は2,3日食べずとも平気だと言う寝られ無い方が辛いと聞いています、先ずは火事を出さない事だ
Posted by 五十嵐 進 at 2009年06月08日 21:29
>田町駅周辺の車両基地の機能が移って来る

品川駅の横(海側)にあった新幹線車両基地が大井埠頭へ移転し、跡地が再開発され「品川インターシティ」になりました。問題の施設は「田町電車区」「品川客車区」「(旧)東京機関区」等で、田町駅と品川駅の間に位置します。

寝台特急の廃止で遊休地が増えた事や、東京駅と上野駅をつなぐ「東北縦貫線」復活工事が4年後?完成する事もあり、この地も再開発して車両基地を整地・縮小するようです。田町〜品川間には新駅設置も計画されています。つまり、将来的には東海道本線の車両も尾久操車場に収容する事になると思われます。

都市部では、広大な敷地を持つ施設でないと「(災害時の)避難場所」にできないんですが、一方で「ここは避難場所として適切か?」という問題はあります。例えば、目黒区と大田区にまたがる某国立理系大学の場合、戦前に建てられた「本館」に研究室の原子炉があり、いわば原発に避難するようなものです。これはこれで「問題あり」と思いますが‥。

田端・尾久操車場も、車両が出払っている時(日中?)と目一杯車両を収容している時(早朝・深夜?)では様相が違うんで、「避難場所と避難道路を指定して一丁上がり」ではなく、状況に応じた細かい避難計画が必要とは思います。
Posted by 風林火山 at 2009年06月09日 17:45
tnt 様
 詳しい備蓄内容は荒川区HPの防災のページから入って「主な備蓄物資一覧 (2008年6月25日) 」を見ていただければ幸いです。
 記事の書き方が分かりにくかったかもしれませんが、その備蓄庫のカギだけでなく、学校に入る為のカギについて主に聞いたつもりでした。ミニ備蓄倉庫は学校の校舎内に有るケースが多いので、まず、校舎内に立ち入る為のカギを今よりも多くの人間が管理してはどうかという提案をしました。

>>五十嵐 進 様
 まずは個人でそれぞれが必要にしている備蓄をした上で行政の備蓄が有ると思います。今迄の震災の現場での実情を参考にして、区としてもしっかりとした準備をしていくように求めて参ります。

>>風林火山 様
 さすが、鉄道にお詳しいですね。情報と分析をありがとうございます。新駅も計画されているのですか!
 状況に応じた細かい避難計画が必要だという問題提起、その通りだと思います。
Posted by 小坂 英二 at 2009年06月10日 06:20
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