スーパーの開店に向けた開発が行われている土地に存する旧千住製絨所の歴史的な煉瓦塀について今年1月8日のブログ記事(まず、こちらをお読み下さい)でご報告した通り、度々問題提起を行い、2月20日の本会議一般質問では「次世代へ歴史を引き継ぐ」観点から、区の支出を伴う形をとっても保存をすべきと主張をして参りました。
(小坂の一般質問における2月20日の本会議質問でのやりとり)
小坂:次に歴史・文化を引き継いでいく観点から、まず、日本初の洋織物工場である旧千住製絨所の赤煉瓦を守るべく土地利用予定の事業者への支援も検討すべきと申し上げます。
私有地内でかつ文化財指定も受けていない為、取り壊しせずに開発と両立できる保存を実現するには、金銭面の支援も含めて事業者に働きかける必要があるのではないでしょうか。
教育長: ご質問の煉瓦塀につきましては、教育委員会としては所有者に対し、保存に向けた交渉を重ねてきたところでございます。
今後は、土地を利用する予定の事業者も含めて具体的な交渉を進めたいと考えております。
(やり取りの抜粋は以上です。)
こうしたやり取りの後も区は保存に向けての検討と開発事業者との交渉を粘り強く続けてこられました。その結果、一部の保存と区文化財登録への道筋がつきましたので以下、ご報告致します。
とても嬉しく思っております。保存され環境整備がなされた煉瓦塀の周辺が歴史を引き継ぐ一助となる場になるように引き続き問題提起をして参ります!
★完営千住製絨所(明治12年開業)の敷地を囲んでいた煉瓦塀について、関係者から塀の寄贈及び土地の賃借を受け、区の文化財として保存する。
★平成18年12月に当該煉瓦塀は、歴史的価値のある建造物として荒川区文化財保護審議会から区登録有形文化財に相応しいものとして答申が出された。
平成20年12月に土地所有者から、商業施設出店計画において塀が全面撤去となる可能性が示され、保存方法について協議を重ねてきた。
平成21年3月に煉瓦塀全長80mのうち、南寄り約50mの部分については、面している道路部分が幅員4m未満の建築基準法第42条2項道路に該当しているため、土地所有者において解体撤去した。
その後も、保存を要請すると共に、保存方法について協議を重ねてきた結果、塀の一部の保存についての合意が得られた。
★寄贈物件(所在地:南千住6−43)
全長18m 煉瓦塀、表門の門柱部分、車止め
耐震性、安全性を確保すると共に文化財としての価値を損なわないたねに、現存の約29mのうち、中央の約11mを取り壊し、南側約8.5m及び北側約9mの計18mについて土地所有者から寄贈を受ける。
(冒頭写真の「※」で示した部分)
※土地所有者:日本紙通商
※土地利用者:潟宴Cフコーポレーション
★保存方法
(1)寄贈を受けた煉瓦塀は、区が文化財として登録し、補強及び修復工事を施工し、保存する。
(2)煉瓦塀の敷地(約9平米)については、土地利用者と、区が土地の賃貸借契約を締結する。
★今後の予定
平成21年9月 煉瓦塀の寄贈及び土地借用の覚書締結
12月 煉瓦塀の寄贈及び土地借用の契約締結
区の有形文化財として登録
商業施設建設工事開始
煉瓦塀の補強及び修復工事
平成22年8月 施設の外溝工事に併せて
煉瓦塀の環境整備工事
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かつての風景が目に浮かぶようです。それぞれの方々から歴史を語り継いでいけると良いですね。