2009年08月26日

弟子育成へ区の補助実現!(伝統工芸)

 午前は役所で打ち合わせの後、午後はお世話になった方のお別れの会の後、自転車で一路、都議会の会議室で11月6日を目途に(10月9日から変更)行われるシンポジウム「対馬が危ない」 (参考に7月28日のブログ記事をご覧下さい)シンポジウムの有志の打ち合わせに参加。夕方からは地元で政務会合といった流れです。

 さて、伝統工芸の引き継ぎにおける弟子の育成には長い時間がかかります。その間にかかる費用について平成19年5月13日のブログ記事で問題提起をし、平成19年10月15日の決算賛成討論においても以下の提案を致しました。

(以下、小坂の賛成討論の一部から抜粋)
 初めに、産業の分野では、伝統工芸技術者やマイスターが弟子を受け入れた際に弟子の収入を確保すべく補助を実施すべきと申し上げます。 
 後継者不足の背景には、弟子が一人前になるためには五年から十年かかるため志望者が少ないことや、小規模事業者が修業中の弟子に給与を支払う金銭面の余裕がないことなどがあるため、鳥取県では後継者育成に取り組む事業者負担を減らすため、給料の一部を負担する事業を実施中だそうです。

 期間は最長二年で研修生一人につき五万円を助成。県内に転居した県外在住者には同伴家族の人数によって上乗せがあり、そのほか家賃助成もあるそうです。

 荒川区の財産である多様な伝統技術やマイスターの技術はここまで踏み込んだ対応をしないと、途絶えてしまうのではないかと危惧しており、実施を求めたいと思います。
(抜粋以上です)

 今年度予算に向けた予算要望(詳しく平成20年8月22日のブログ記事をどうぞ)にも同趣旨の要望を盛り込んでおりました。

 荒川区において、そうした趣旨の伝統工芸の弟子育成の支援事業が創設されることになりました。とても嬉しく思っています。以下、概要をご報告致します。

★荒川区の貴重な文化財である伝統工芸技術を次世代へ継承するために、伝統工芸技術継承者の育成支援事業を実施する。

★対象者
 技術伝承指導にあたる伝統工芸技術保持者及び伝統工芸技術継承者とする。
 伝統工芸技術保持者(以下、「保持者」)とは、荒川区文化財保護条例に基づく区登録・指定無形文化財保持者、又は、文化財保護奨励団体の構成員で伝統工芸技術を有する職人。
 また、伝統工芸技術継承者(以下、「継承者」)とは、保持者のもとで伝統工芸技術に関する知識及び技術を新たに修得し、将来、区内で伝統工芸を生業とする職に従事する意思のある者で、義務教育を修了した概ね30歳までの者をいう。

★事業内容
 (1)伝統工芸技術短期現場実習支援事業
   (ステップ1〜職人見習い)
  @内容:保持者が伝統工芸技術の修得を希望する者を受け入れ、短期間(上限:3ケ月)の現場実習を実施し、保持者となることの意思の確認及び素質の検証を行う。

  A支援内容
   (ア)保持者の指導料として、日額5千円を支給する。
        (上限:月額10万円)
   (イ)継承者への研修手当として、
       保持者へ日額3千円を支給する。
        (上限:月額6万円)

  B実施時期;平成22年1月から

 (2)伝統工芸技術新規継承者支援事業
    (ステップ2〜弟子入り修行)
  @内容:原則として「ステップ1」の終了者で、本格的に技術の継承のための修行を希望し、技術的に優れ、将来性がある者を対象とし、3年間(最長6年間まで更新可)にわたって育成を支援する。なお、本事業開始時に既に弟子入りしている者も6年以内であれば対象とする。
  
  A支援内容
   (ア)保持者が指導を行うための材料費として、
      月1万円を上限として補助する。
   (イ)継承者への研修手当として、
      保持者へ日額5千円を支給する。
       (上限:月額10万円)
  B実施時期:平成22年4月から実施。

 (3)若手職員の作品コンクール(ステップ3〜独立への登竜門)
  本事業で技術を修得した者を含む若手(就業後5年未満)の作品コンクールを実施し、成績優秀者を顕彰し、継承者の独立へのきっかけとする。
 実施時期は「ステップ2〜弟子入り修業」の一期生が終了する3年後を目途とする。

★伝統工芸技術保持者の現況
 平成21年4月現在
  登録無形文化財保持者 37人
  指定無形文化財保持者 15人
  合計 52人(うち伝統工芸技術保存会会員49人)

  荒川区伝統工芸技術保存会会員56人(内支援事業対象者53人)

★今後の予定
 平成21年10月  ステップ1〜職人見習い〜募集
      12月  伝統工芸技術展で対象者紹介
 平成22年1月〜  ステップ1〜職人見習い〜試行実施
      4月以降 ステップ2〜弟子入り修業〜実施


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スカウター : 荒川区議会議員小坂英二の考察・雑感
posted by 小坂英二 at 12:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 区政全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ものづくり職人荒川区内に大勢いました、省力化、大量生産に移り変わり大規模工場で安い製品へを好む様になり、手作りの使い勝手のよい物、オリジナルな品の良さが知らない人が多くなり工芸品と呼ばれ日常生活から遠のいてしまった、伝統工芸技術者守ることも大切だが、良い品である事、長く使うごとに自分に懐いてくる品である事を消費者に分かって貰う、製品も技術も守られるものでは無く発展させなければいけない、区役所の一番目立つ所に展示されている事は嬉しい事だが 良さが伝わらぬ、今から40余年前住んでおりました前の家が釣り箱を作っておりまして、たまたまお邪魔しておりましたが亡くなり、図書館でテープを借りてきまして見ると懐かしく訪ねてみましたところ奥さんも亡くなり空き家になっておりました、私は釣り箱を二つ持っておりますが50年以上経つても確りと水漏れしません、もっと驚く事は作って頂きました食器棚の棚板、食器棚は30年前に壊れてしまいましたが今でも二枚合わせるとくっいてしまうほど狂いが無い、家を修理に来た大工さんが私には出来ない業だと感心していました、亡くなる直前の話を奥さんにお聞きし職人とは凄い人だと、私も物作り端くれ心底思いました、天狗は芸のいきどまり、昔よく言われました 古い職人技が近代産業に貢献している事も伝えたい鏡面研磨職人が私の一軒おいた隣の方ですが、半導体のチップ切断する際の台の研磨をお願いしていましたが高齢で亡くなり続けられなくなりました指先だけで磨く技です
Posted by 五十嵐 進 at 2009年08月27日 10:45
>>五十嵐 進 様
 興味深い話を教えていただき、ありがとうございます。ご指摘のように消費者が伝統工芸技術の素晴らしさを知り愛着を持つことも重要ですね。
 区としても伝統工芸に区民が触れる機会を益々増やしていくように求めて参ります。
Posted by 小坂 英二 at 2009年08月28日 11:55
同様の施策は、鳥取だけでなく静岡や近所の葛飾でも行われていたかと存じます。
その政策評価や視察による調査や反省あるい協力先の確保なども込みになっているのでしょうか?

ある意味は、金沢市の伝統工芸施策のような弟子入りから開業や販路開拓、あるいは障害者雇用までといった、他の商工振興やTASKプロジェクトの関係・連携、あるいはPR等の活用パッケージがなければ、種をまいたがよろしいが、育つにあたっての手入れや収穫も望めないと思うのですが。
Posted by やどか at 2009年09月15日 09:36
>>やどか 様
 そうですね。いくつかの自治体で同様の取り組みをしているところが有りますので、それは調査をした上での実施です。
 御指摘のように総合的な取り組みに進化させていくべきと思いますので、職人さんの現場の実情も踏まえながら、そうした点についても働きかけていきます。
Posted by 小坂 英二 at 2009年09月15日 17:38
レス恐縮です。
外から見ている限り、事業内容の概要が、資金・期間等がほぼ葛飾区のものと同様で、とても不安覚えて書き込ませていただきました。
調査された。上ということで、安心いたしました。
バットコピーにならないようがんばってくださいませ。
Posted by やどか at 2009年10月06日 17:52
>>やどか 様 
 こちらこそ、返信ありがとうございます。担当課とも連絡をしっかり取りながら実施策について適宜、もの申して参ります。折角の新規施策ですから!
Posted by 小坂 英二 at 2009年10月08日 11:51
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