2006年03月03日

机と椅子の贈り物

 荒川区の小学校では入学時に支給された机と椅子を6年間使用して、「自分のものとして大切に使ってもらい」、卒業した時には記念品として持ち帰ることができることを、ご存知ですか?今日はこの話について。

 机と椅子の持ち帰りについては、平成3年度の新1年生(言い換えれば平成8年度卒業の6年生)から区内小学校全校で開始。卒業の記念に「自分の机・椅子」として自宅等に持ち帰るということで、不要なら受け取らなくても良い形となっており、現状としては全体の約2割の方が持ち帰りをし、約8割は持ち帰らないそうです。その残り8割については海外に寄付しており、平成8年,9年はドミニカ共和国へ平成10年以降はジャマイカへ輸送し、現地の学校では大変歓迎されているとの話です。その費用については区立学校から港までの輸送は区の負担とし、船での外国への輸送費については、現在、ジャマイカ政府の負担です。ジャマイカ政府からは「新しく学校を建てる予定も有り、近隣区でも協力してもらえるところが有れば、是非、協力してもらえないか?」との話もされているとか。担当責任者の方の話ではもし処分するとした場合の費用を考えると、区の費用負担もさほど無く外国で大事に使ってもらえるのなら良いことでは?、新1年生には新しい机を贈り、気持ち良く勉強に取り組んで欲しいとの気持ちも有るとのことでした。因みに机と椅子のセットについては新品が約1万円です。

 小坂としてはこのユニークな取り組みについては、海外でも喜ばれていることは良いと思いますが、少しひっかかるところは有ります。それは「自分が6年間使うから大切にしなきゃ」という心よりも公の学校では「皆で共有するものだから自分のものじゃないけど大切にしよう」という気持ちを養うことこそ、力を入れるべきではないかと思うのです。小学校では6年間使うだけで、「持ち帰り」か「海外輸送」の道しか無いようにするのでは無く、「まだ、使えるのにもったいない」との気持ちで、例えば10年以上使うという形のほうが望ましいと思います。小坂が小学生の時(当時は京都市在住)は、新1年生の時にも別に新しい机ではなかったですし、机も年度ごとに変わっていたと思います。

新1年生が新しい机でなく少し傷の有るものなどを使うことになり、一部からは「差が有るのは可哀想」とか「平等で無い」との声も出そうですが、小坂はそうした差が有っても構わないと思います。それよりも新1年生に対して「A君の机は少し傷はついていても、この机は先輩が大切に使いつづけてきた歴史の有る机だよ。それを引き継いで大切に使ってね。」「B君の机はピカピカで新しいね。B君が卒業してもその後に後輩が使い続ける机になるから、ずっと大切にしてね。」とどちらも同じように大切にする心を教える姿勢に転換できないものか、担当責任者の方に話をしました。一つのものを長く使い続けて欲しいものです。現状では現場から異論等も無く、受け入れ国からも感謝されているので、変える予定は無いとの答ですが・・・。皆様はどのようにお考えですか?

small_ribon.gif学校現場においては「もったいない。公共のものは大切に使い続けよう」といった心を養うことが重要、と考える方はこちらを押して下さい。
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posted by 小坂英二 at 00:08| Comment(10) | TrackBack(2) | 教育・子育て環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは、初めてコメントを書きます。
う〜ん、机ぐらいで「差が有るのは可哀想」というのは私には理解しがたい。

子供でも、学力、体力、親の経済力に差があるのはわかっているのでは?子供にとって動かしがたい差なんだけど、机ぐらいは差が無いようにしてあげたいという気持ちはわかりません。
Posted by ビーグル at 2006年03月03日 00:25
>>ビーグル 様
私が書いた内容は「差が有ってもそれは構わないのではないか?」という趣旨です。文章が分かりにくかったかもしれず、失礼しました。
Posted by 小坂 英二 at 2006年03月03日 01:07
私もちょっともったいないなあと思うけど、ジャマイカの方が喜んでくださっているのなら、いいのかなあ・・・? うーん、微妙ですね。
子供の頃、クラス替えや席替えのたびに、変な机が当たってしまったときのトホホ感を久々に思い出して笑ってしまった。後になるとそれもいいものなんですけどね。
Posted by kazue at 2006年03月03日 08:32
って、ズレたコメントを残してしまいました、すみません。ジャマイカの方が喜ぶのは嬉しいが、荒川区の財政はそのためにあるんじゃないですもんね。
新品なんぞいちいち用意せず、使えるうちは徹底して使え〜! 
ということで。
ところで昔は、1年生の机と6年生の机は、確実に大きさが違ったと思うのですが、今は6年間使うということは、同じ大きさなのですかね・・・?
Posted by kazue at 2006年03月03日 09:41
学校、地域によるのだろうけど…。
これって税金の無駄遣いじゃないのかな?
学校にある机って学校という公共の場の物であるのに、それを個人に持ち帰らせるのはどうかと。
まして、使えるものを買い換えるのに結局税金が遣われるわけでしょう?
物を大事にするということを教えるべきですよね。
こういうのが普通の感覚だと思ってたんですけど今は違うんですかね?
なんかおかしいなぁ。
Posted by なぎ at 2006年03月03日 12:41
>>kazueさん
ネジをはずしてずらして大きさが変わるようになっているんです。
4年前まで区内の小学校に通っていたので今でも同じ物なはず。


今は高校生ですけど、学校で自分用の机なんてありません。机にお金かけるより教育それ自体にお金かけたほうがいいですよね。
Posted by 区境人 at 2006年03月03日 22:18
小坂さま
すみません、私も言葉足らずでつぶやきのようなコメントになっていました。差があるのは可哀相というのが「一部」の人達だという点は認識しています。

小坂さんが仰るように「公共のものを大切に」というのは賛成です。世の中、新しいもの、耐久性が低いものがあふれている中で、古いものに接し、大事に使い続けるのを教えるのは意義あることだと思います。

古いもの(古びた机、古典、自社仏閣、歴史建造物)に触れさせるのも教育の一環だと思います。
Posted by ビーグル at 2006年03月03日 23:49
 皆様、コメントありがとうございました。やはり、疑問を感じる方は多いですね。「もったいない」精神を大切に引き継いでいきたいものですね。
Posted by 小坂英二 at 2006年03月06日 16:35
というか中学にあがるまで机は一人1つマイ・デスクがあるものだと思っていましたorz
Posted by 区境人 at 2006年03月08日 01:04
>>区境人 様
 なるほどー。今の制度だとそう思いますよね。私が小学生の時には、机の当たりはずれがありましたが共通の物として、そのことを当たり前のように受け入れて使ってました。それで良いと思います。
Posted by 小坂英二 at 2006年03月20日 16:02
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Weblog: Yellow Jamaican
Tracked: 2006-08-08 18:58

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