
娘が昨日保育園のいも掘りで収穫したサツマイモ。今朝、早速いただきました。
今朝は自宅事務所でたまった事務や調べものをした後、午後に荒川区自治総合研究所の設立1周年講演・シンポジウムに参加。
「荒川区自治総合研究所」についてはこちらのページをご覧ください。
電子メモの「ポメラ」を持参し、要点をメモしながら。
サンパール荒川の小ホールは有識者、地域の様々な団体の方、区職員、議員、全国各地の自治体関係者で満員でした。
その講演、シンポジウムの中で印象に残った言葉などをご報告致します。
○神野直彦東大名誉教授・地方財政審議会会長の講演
今の日本は幸福を奪い合う社会になってしまっている。その根底には地域社会の崩壊が有る。
日本では社会の中で他者を信頼する人の割合が世界で一番少ない。
コミュニティーで支え合う意識が低くなっている。
フランスのように税は連帯して世代間で支え合う手段であると国民の共通認識を持つべき。
日本では教育の目的が「金儲けができる大人になる」ことに成り下がってしまっている。
人間は信頼し有った方が圧倒的な力を発揮でき幸福にもなれるという事実を否定するような社会になってしまっている。
人間は「存在欲求(自然や人間とのふれあいの中で存在すること)」と「所有欲求」を持つ。工業社会は「所有欲求を充足する」のが前提とされていたが、今後のあるべき社会は「存在欲求」を目的とせねばならない。
所有欲求の充足を目的とした社会は大量生産、大量消費・廃棄へ繋がり、持続可能でなくなっている。
スウェーデンの学校で使われている教科書でこう書かれているが、日本においてもおなじことが言える。
所得と幸福を感じる度合いは、一定程度まで比例関係にあるが、ある一点(例えば三重県の調査では年収800万円程度)を超えると逆に幸福を感じる度合いは落ちていく。
日本は産業構造の転換とともに、福祉において「現金支給」から「サービスの実施・提供」に重点をおいていくべき。
現金給付を中心にした福祉制度は「不正受給」「もらう人とそうでない人の格差」が生じてしまう。
福祉のサービス給付についても、全国一律ではなく、「地域の実情に応じた形」で行うべき。その点からも地方分権は有意義。
(講演におけるメモは以上)
大東亜戦争についての自虐史観に漬かった認識や社会保障と経済成長の関係の説明(根拠とする資料が部分的)については賛同できない話もなされていました。

続いてコーディネーター(阿久戸光晴 聖学院大学学長)と4人のパネリスト(西川太一郎荒川区長、月尾嘉男東大名誉教授、広井良典千葉大学教授、坂田一郎東大教授)によるシンポジウム。
テーマは「あたたかい地域社会を築くために〜基礎的自治体からはじめる意義〜」。
具体的な政策を交えながら長時間のシンポジウムの中から、印象に残った言葉をいくつかご報告致します。
坂田氏「社会と幸福実感の構造変化は3点。地球の持続可能性、社会の高齢化、次世代のグルーバル化。
ただ、高齢化はマイナス面ばかりで捉えるべきではない。
行政と実感をつなぐ仕掛け、幸福実感の急速な構造変化を反映・先取りするしかけづくりが必要。
地域社会において幸福・不幸の鎖は伝染する。コミュニティーへ貢献することは単に与えるということではなく、自分自身の為にもなると言える。」
広井氏「高齢者がゆったりと過ごせるような場所が街の中にあることは、ある意味で福祉施設等をつくることと同等かそれ以上に重要な意味を持ちうる。
歩行者空間と座れる場所の確保が重要。
福祉政策と都市政策を融合していくべき。
(※正に小坂が平成21年10月5日の決算特別委員会での質問で「街を歩行者の手に取り戻せ!」との観点で、可能な場所では自動車締め出しと豊かな歩行者空間とすべきと主張した視点と同じ!)
国分市のプレイセンター・ピカソは神社の社務所を活用した地域保育の試みと世代間交流のような取り組みを進めていくべき。
足下だけ見て幸福感を上げるだけではなく次世代のあるべき姿を見据えた上で考えていくべき」
月尾氏「米国は一日に130億円の食料廃棄、120億円のダイエットにかける費用、260億円の肥満治療が行われる矛盾した社会。こうしたアメリカ的な矛盾が世界を覆っている。
先住民インディアンのように100年先のあるべき姿を予測して、そのためになにをすべきか考える(バックキャスティング)視点が必要。土地も空気も子孫からの借り物であり分かち合うということが必要。
モンゴル地域では先住民族が土地を共有していた時には持続的放牧が成り立っていたが、中国のもとで土地を所有させたらすぐに荒れ地になってしまった。」
西川氏「無駄になってしまっている資源を活用していける区政にしたい。
地域の行政において、「不幸を減らすこと」にしっかり取り組む。自殺者を減らすこと、子供の貧困問題、高齢者の社会的孤立による不幸を減らすことをに力を入れていく。
子供たちが自らの幸福感を育めるような環境を整備していくことも重要。」
阿久戸氏「「それぞれの方が見守られていることを実感すること」と「自立支援」が幸福へのキーワード。
あるべきコミュニティーの姿を先取りして行政が取り組むことを期待する。
チリの鉱山で救出されたメンバーの姿は「分かちあい社会」そのものであり見習うべきものが多い。」



