2006年05月30日

給食費について

 、昨年12月20日の記事「給食費滞納のツケ」5月26日の記事「給食費滞納、荒川区も断固たる措置を!」に学校給食費用の滞納について詳しく書きましたが、それに関連して、基本的な現状報告を。

4月17日の文教委員会で「荒川区包括外部監査人からの監査結果報告書」とその指摘に対する区の対処が報告されました。外部監査をしてもらった「選定テーマ」は偶然にも「学校給食事業及び管理業務について」で15項目、51ページに渡る報告書が提出されました。そのうちの一部の課題やデータ等を紹介しながら、先日の記事へ寄せられたコメント等を踏まえてご報告します。

 まず、基本的なこととして費用の負担は以下の通りとなっています。

・学校設置者(荒川区)の負担=学校給食に必要な施設・設備に要する経費、学校給食運営に関する人件費や設備修繕費
・保護者の負担する学校給食費=食材料費のみ。私費会計となります。各学校ごとに管理。以下、「給食費」とします。

 給食費は学校給食費検討委員会で毎年検討し、小中学校校長会で1人当たりの共通一食単価が決定されます。共通一食単価は以下の通りです。

小学校低学年 216円(月3,727円)
小学校中学年 232円(月3,997円)
小学校高学年 253円(月4,359円)
中学校    291円(月4,795円)

 給食費の支払いが経済的に難しい方に対しては「就学援助」が出ています。平成16年度では小中学校在校生9,877名のうち3,356名が就学援助を受けており、金額にして1億5656万円となります。

 さて、給食費は各学校とも上記の通り、共通ですが、実際にかかっている一人当たり費用は学校の児童・生徒数の規模で大きな差が出てきています。荒川区立学校は全て給食業務は民間委託されており、入札で選定された様々な業者が給食を作っています。その際の業者との契約金額(人件費等を含みます。)を各学校で比較すると・・・。
 例えば小学校で一番生徒数の少ない「全校生徒が100名以下のある学校」(学校の生徒数の現状については4月17日の記事をご覧下さい。)では、一食あたり、815円、一方、「551名以上の児童が在籍する学校」は一食あたり162円と大きな差が有ります。固定費として大きな割合を占める人件費の差が、小規模校には1人あたりのコストとして大きく影響するのです。その人件費にあたる費用は保護者ではなく税金で賄われます。

 包括外部監査に添えられた意見の一つとして「荒川区には10.2平方キロメートルの区内に33校が点在していて、学校間の距離が比較的短いケースも存在する。そうした現状を踏まえて給食の質の低下をさせることなく、調理業務をいずれかに一方に集約するなど設備の共有化を考慮し、老朽化した設備の入れ替えに合わせてその可否を検討すべき」というものがありましたが、その通りだと思います。荒川区では全ての学校が自校単独調理方式が採用されていますが、他の自治体で実施しているような「共同調理場から配送する共同調理方式」や「給食設備を有する学校から近隣の学校へ配送する親子方式」などを進め、老朽化した施設をすべて新しくするのではなく、ある学校については老朽化を機に調理場を廃止することも検討すべきと考えています。この意見に対しては、区は「事実上困難」として消極的ですが・・・。

 大きな項目で15項目、その中でもさらに細かい点について、詳細な監査意見が出されていますが、その中で「就学援助の支給方法について」も小坂と同じ認識の指摘がされています。現状では、就学援助としての学校給食費は、他の費目とともに、区から直接保護者に支給されています。しかし、「就学援助としての給食費の支給を受けながら、保護者による支払いがされない」けしからんケースが存在します。そこで、監査の意見として出されたのが「就学援助のお金を区から保護者、学校という流れででお金を支払うのではなく、保護者の了解の下、区の支出を直接学校給食費に充当すつことも未納を解決する方法のひとつ」というものです。
 区の対応としては「現行制度でも、保護者の了解を得た学校長からの要請に基づいて、学校長が区から保護者に代わって受領できる方法を定めている(小坂注:つまり、学校長から要請があったケースのみということです)。就学援助の対象者全員の就学援助費を学校長口座に直接支給する方式は、指摘内容を踏まえ課題整理を行い検討する」というものです。給食費としての就学援助を受けているのですから、他の用途に保護者が勝手に使うことなど許されるものでは有りません。保護者の了解など必要無く学校長の口座に振り込んでも何の問題も無いと小坂は思いますが、全体への拡大を引き続き求めて参ります。

 他にも、詳細なデータや改善すべき課題について監査意見が出されていますが、既に長文になりましたので、ここまでにしたいと思います。疑問点やこの点はどうか?ということが有りましたら、コメントやメールでお寄せ下さい。

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posted by 小坂英二 at 23:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 教育・子育て環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんだか、小坂さんの意見が当たり前過ぎて「どこが新しい考えなのか?」と思ってしまいました。それ位、現状がおかしいという訳なんですよね。私は隣の足立区民ですが、当区も福祉受給者が多い区ですので、同じ様な悩みを抱えているのでは?と思う訳で。もっとしっかりと現状を報告してくれる区議会議員を欲する私。
Posted by TMN at 2006年06月01日 00:29
>>TMN 様
 おっしゃる通り、当たり前のことですね。それができていないという現状なのです・・・。 足立区の現状について、ホームページをお持ちの足立区の議員さんで「この方なら」と思う方にメールででも問い合わせて見てはいかがでしょうか?
Posted by 小坂英二 at 2006年06月02日 00:55
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