この講演は区立小中学校で「ようこそ青年海外協力隊」事業を今年度から始めるにあたって区教育委員会と提携先である「JICA地球ひろば」が今日、覚書調印式を行う機会にモデル事業として実施したものです。多くのマスコミにも注目されており、東京新聞等が取材に来ていました。JICAと地方自治体がこうした形で協力するのは日本初の取組みです。
こうした講演という形で山田隊員の話を聞く機会ができたことの一つのきっかけは、実は上記のブログの上記4月12日の記事を読んでくださった方が、荒川区での講演に山田隊員を呼ぼうと考えてご努力して下さった結果です。事情によって詳しくは書けませんが、その方を始め実施にご努力してくださった皆様に心から感謝をこの場でもうし上げます。小坂の拙いブログが一つのきっかけになったことも大変嬉しく思っています。
ただ、残念だったのは、講演を実施するにあたっては、参加者を区立小中学校の教職員だけに限るような話が出ていたので、「区報での周知は時間が限られていて無理でも、折角の貴重な話が聞ける機会なのだから区民にも広く参加を呼びかけるべき。ホームページやメルマガ、区の掲示板などその気になれば周知できる。また、締結式・講演に区議会議員も全員呼んで事業についても理解を深めるのが当然ではないか?」と教育委員会に対して話をしていたのですが、区民の参加は「まずは趣旨からして教職員の理解を深めることが先で、区民の幅広い参加は今後の課題」として取り入れてもらえませんでした・・・。区議会議員への呼びかけはぎりぎりで決めたようで昨日やっと行われ、小坂も参加できた次第です。参加者はJICAの関係者と区立小中学校教職員と区長、区議会議員。約100名。会場を工夫すれば、参加を希望する区民も含めもっと入れるのですが・・・。
山田隊員の活躍については、4月12日の記事に概要が書いてありますので、重複となるので書きませんが、講演の中で出てきた話をいくつか。
「仲間の協力があってこそできた。現地のトップアーティストの協力も得られ、JICA隊員として赴任してきた職員にNHKの元カメラアシスタントがいたりと仲間に恵まれた。」
「作成した音楽ビデオをパソコンに入れ、テレビ局に飛び込みで持ちこんだら採用してもらえた。」
「マラウイではエイズは日常の中で感じられること。エイズで亡くなる友人、同僚などは全く珍しくない。毎日のように葬式が有った。エイズへの偏見を無くし、謝った知識を正すために、受け入れてもらい易い音楽・音楽ビデオという形を考え付いた」
「マラウイと日本との繋がりはJICAが大きな部分を占めている。日本の民間企業は1社も進出していない。JICAの先輩が頑張ってこられたこともあり、任地に赴くと、「この技術はミスター○○(JICAの先輩隊員の名)から教わったんだよ」という話をされることも良くあった。それゆえ、とても親日的。」
「今後、日本の若者にこの経験を還元したい。子ども達に興味を持ってもらえるような活動をしたい。帰国後、様々な機会に講演をした。興味を持ってもらえば、後はネットや書籍で自分の意思でさらに詳しく知ることができるのだから、そのきっかけを作りたい。」
こうした話を児童・生徒が聞けるようになる「ようこそ青年海外協力隊」事業は、きっとじわじわと教育上の良い効果が出てくるものと確信します。
区長の挨拶に続き
覚書の交換がJICA地球ひろば所長と区教育長で行われました。
教育長の挨拶に続き、JICA地球ひろば所長の挨拶
山田氏の講演に先立ち、「ディマク・コンダ」のビデオが流され、
講演する山田耕平氏
TBSのブロードキャスター(平成18年2月4日放送)で紹介されたビデオも流されました。
講演終了後、山田氏と短い時間、立ち話をしました。本当に爽やかな好青年で、現在、日本で「ディマク・コンダ」のCDを発売することも活動の一つとして進めていて8月には発売する方向とのこと。その売上をマラウイに持ちかえりエイズ予防の取り組みをする活動に使いたいとのことです。読者の皆様も、是非、応援宜しくお願い致します。JICAの隊員は累計で約2万5千人が世界のあちこちで途上国のために働いてこられ、現在も約1400名の方が任に当たられています。心から敬意を表したいと思います。
最後に、今日覚書調印式を行った「ようこそ青年海外協力隊事業」について昨日の文教委員会の資料に基づき概要をご報告致します。
目的:青年海外協力隊員の貴重な体験をもとにした講話を通し、荒川区の子供たちの好奇心や想像力を育み、将来に向けて「夢」や「希望」を持って、これからの人生を切り開いていこうという子ども達を育成することを目的とする。
本事業は区教育委員会と独立行政法人 国際協力機構広尾センター(JICA地球ひろば)が提携して実施する。
事業内容
1.対象:小学校5,6年生、中学校の任意の学年
2.実施:各校 年1回 2時間 原則として学級単位で実施
3.内容:講話・体験談・実演及び交流会等
4.講師:「農林水産」「加工」「保守操作」「土木建築」「保健衛生」「教育文化」「スポーツ」の7部門の元青年海外協力隊員
5.実施方法
(1)講師派遣については、教育委員会とJICA地球ひろばが連携して行う。
(2)教育委員会は各学校の講師派遣希望を取りまとめ、希望一覧をJICA地球ひろばに提出する。
(3)JICA地球ひろばは教育委員会及び各校と連絡調整を行いながら、青年海外協力隊経験者の派遣手続きを行う。
(4)事業実施に係る経費は、教育委員会が予算措置を行う。
以上、概要を書きましたが、こうした事業を学校だけでなく区民全体に参加を呼びかけられるような形にすべく、引き続き発言して参ります。提携先の「JICA地球ひろば」(多くの児童・生徒が来訪して学ぶことができ、途上国の現状を追体験すできる仕掛けがあるそうです。NGO団体の活動拠点ともなる施設。詳しくはリンク先を参照下さい、イベントも多数実施)も今度、是非、訪ねてみようと考えています。
海外で国際協力に従事する青年海外協力隊の努力は素晴らしい、と考える方はこちらを押してください。
そうですよね。折角の機会でしたのに・・・。私も残念です。今後は広く話を聞けるような仕組みにできるよう取り組んで参ります。実現した際には、是非、聞きに来て下さい。