何の話かというと、荒川区が昭和45年から実施している「奨学資金」の返済についてです。まず、「奨学資金」の概要から。細かい点はこちらに掲載されてますので参考までに。
対象:高校や高等専門学校に入学する生徒
一定の所得以下であること。
支給限度額:これは貸付です。無利息ですが返済義務が有ります。
修学資金:国公立だと 月額14,000円
私立だと 月額26,000円
入学準備金:国公立だと 85,000円
私立だと 240,000円
こうして貸付を受け、学校を卒業後1年間経過してから返済を10年以内に行うことになります。
さて、この返済がどれだけ行われているのでしょうか?様々な数字が手元にありますが、平成17年度末の数字で分かりやすく表現すると、
★貸し付けた総額のうち、本来今までに
返済されていなければならない金額(累計)=約7600万円
★上記のうち、既に返済された額(累計)=3200万円余り
つまり、今までに返済されるべき金額のうち、返済されたのはわずか、42%ということになります。58%は延滞・不良債権です
累計で無く、単年度で見ても平成17年度中に予定では返済されるはずだった金額の70%しか返済されていません。
こうなった理由はいくつか有ります。
1.利用者の倫理の崩壊
経済的に苦しいから返済しないのでは?という声もあるかもしれません。そういう方も一部にはいますが、それなら申し出てもらえれば、返済の猶予や定期的な返済金額を低くするなどの対応を区はしています。
しかし、大部分のケースはそうした申し出も無く、返済をしない。引っ越して連絡先不明、返す返すと言って言葉だけといった状態です。保証人(両親や親族がほとんど)に請求しても払わない。ひどい状態です。はっきり言って区はなめられています!
2.区の及び腰
今までに手を打っておくべきだったこと。まず、保証人は生計を同一にしている両親などだけでなく、別の世帯に属する保証人も取るべき(宮城県の奨学金制度ではそうなってます。)リスクの分散です。正当な理由無く返済をしない状態が続くようなら、法的措置を取る旨の告知と実際にそうした手続きを取ること。東京都の育英資金では既にそうした法的措置を取っています。荒川区ではそうした措置を今までとったことが有りません。
「法的措置」といった話をすると、例えば「1万円回収するのに1万円コストがかかって、手間もかけるのならやらない方が良いのでは」と言う人もいますが、小坂はそうは思いません。奨学資金のもらい逃げを許すと、その輩は税金も社会保険も国民年金も「払わないでいいや」となり、将来、子供を設けたら「保育料も払わなくてもペナルティー無いし」(平成18年12月の報告記事)、「給食費も同じさ」(報告記事)と際限無く倫理の崩壊を広げてしまいます。
たとえコストがかかっても徹底的に返済をさせるべきです。あらゆる面で「逃げ得がまかり通ってきた」事例が多く見受けられますが、これからはそのようなことは断固許さない強い姿勢を区は各分野で明確に示す必要が有ります。その為に、粘り強く議会での議論を展開していくつもりです。





踏み倒しのケースは、外国でも同じみたいです!
なんか間違っていますよね。ちゃんと日本語に書いているのに。
あ!今、日本法制史で「江戸時代の奉公人」について読んでいました。今も昔も変わらず、踏み倒しともあったみたいで、「保証人になった者は、必ずその奉公人を探す義務がある。もし一定期間に見つけられなかったら、保証人が支払うこと」という一文があるの思いだしました。
私もそう思っています。差し押さえをすべきと。勤務先の確実な把握をしていないようなので、そうしたところから確実に行わなければならないと思います。
>>coelhinha 様
そうですね。ちゃんと理由を伝えて下されば、区も返済猶予など対応をするのですが、かってにドロンや開き直りですからね・・・。奉公人の話、興味深く読ませていただきました。
「本の借り逃げ、卒業させず」強硬策の大学相次ぐ
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070302it07.htm
記事には下記のような学校関係者の言葉が掲載されています。
「何度も督促するより、本を補充した方が手っ取り早い」(早大)と本音も漏れるが、「すぐに社会人になる学生が、『適当にやっていれば何とかなる』と勘違いするのは好ましくない」(神戸市外語大)と“教育的配慮”を理由にする大学も。国公立大からは「図書は税金で買った国や自治体の財産。私物化は許されない」との声も上がる。
小坂さんはこれまで区図書館の未返却本、給食費、そして今回の奨学資金について日記に書かれています。
理由無き給食費の未払いに付いては児童の進級停止(または卒業資格の取り消し)、奨学資金の未返納者については学校の卒業資格の取り消しなどをしてはどうでしょうか。
図書の未返却者に対しても図書カードの利用停止、公共サービスの一部停止(例えば住民票発行停止)など何らかのペナルティがあってしかるべきです。
記事の学校関係者の言葉にもあるように、『適当にやっていれば何とかなる』状況は好ましくないと思います。大学がやり方を変えてきているように、地方自治体もやり方を変えてはどうでしょうか。
奨学金という制度そのものは、大変良い制度ではありますが、どうも奨学金というと、お金を貰えるという感覚が強いんですかね?
これは奨学金制度そのもののシステムを変えないと、なかなか解決しないんじゃないでしょうか。弐十手鶴次郎さんがおしゃているように、ペナルティを設けるのも良いかと思います。
自分の案としては、奨学金が返済されるまで、住民基本台帳などへ奨学金交付経歴を記載するなどして、ずっと(本人に対しての)管理ができるような運用を行うべきだと考えています。多分こうなると、国政レベルの話になるでしょうから、区からの上申というような形になると思いますが…。(これによって本人に不利益が無いような法整備も必要でしょうし)
自治体からの支援制度とはいえ、あくまでも貸付なのですから、返済するのは当然ですし、逆に自治体からの貸付というのは、それだけ厳しい管理や制限があるというスタンスでも良いと思います。元々の財源は区民の税金なわけですからね。
これからもがんばってください。
そうです!地方自治体も対応を根本的に変えなければなりません。今までは「自分のお金ではないから」程々の対応をしてあとは野放しにしてきましたが、今後は、法的措置も積極的に活用して、滞納の回収とインチキの抑止に努めるべきと考えます。
>>とっしー 様
国の法律の関係から、住基台帳とのリンクは難しいとは思いますが、気持ちとしてはそうして欲しいです。今でも住民コードのような住民一人一人に番号がついていますが、とっしー様ご指摘のように「国民総背番号制」を積極的に導入して、そのリストに様々な付帯情報を添付し、全国どこに逃げても、そうした逃げ得ができないような制度を導入するのが一番かもしれません。「人権屋」が大騒ぎするでしょうが、真っ当に生きている人間には何の迷惑もかからないはずですので(情報漏れが無ければ)。
>>syufu 様
気持ち、良く分かります。福祉や弱者救済は本来必要とする方に届けるためにあるのに、そうでない人が不正に受けたり、義務を放棄したりが余りに多すぎて、制度の根幹すら揺るがしかねません。この奨学資金の例でも、「都の外郭団体の制度でも同様の奨学資金が有るし、お金も戻ってこないから区は止めようか・・・」という話にもなりかねません。そして本当に奨学資金が必要な方が使える制度が一つ減ると・・・。そんな悪循環を止めるためにも、逃げ得に対して厳しい姿勢をとるべきと考えます。