2005年09月09日

修学旅行、これでいいのか・・・?

 まず、今年の6月に実施された、ある荒川区立中学校の修学旅行について取り寄せた資料より。


主催団体:JTB
1日目 東京駅(集合)〜名古屋駅〜愛・地球博(班内行動)〜バスでホテル(滋賀県大津市)へ
2日目 終日タクシー班行動〜ホテルでテーブルマナー講習会(夕食)
3日目 八つ橋作り体験学習〜清水寺〜京都駅〜東京駅(解散)

・参加人数=89名

・生徒に関して支払う一人あたりの経費=68,900円
内訳(乗車賃=20,453円 見学入場料=1,000円 小遣等=10,000円
   その他=37,447円)

・教職員については一人当り54,600円の経費
内訳(乗車賃=23,413円 その他=31,187円)

 それぞれの学校で個別に旅行業者と契約しているので、区立中学校ごとに内容は異なりますので、これはあくまで一例です。

 修学旅行、小坂も楽しい思い出が有ります。でも、楽しければそれで良いものではなく、公の学校が行う意味を再考し、在り方を見直すべきだと思います。もっと「学を修める」旅行であるべきではないでしょうか?上記の行程、体験学習らしきものが確かに有りますが、どちらかと言うと観光旅行を少しアレンジした程度に思えます。
 万博や歴史的な神社仏閣等を訪れることに意義が無いとは言いませんが、もっと違う形・・・。例えば、農村民泊(89名程度なら分散して宿泊すれば可能)で2泊3日を過ごし、農作業や林業の手伝い(下草刈りなど)を行い、食事は現地で取れたものを素材にした素朴でも心のこもったもの。それも待っていれば給仕されるのではなく、生徒も調理の手伝いをする・・・。「田舎体験と田舎ステイ」のページに様々な体験学習の内容、地域別に検索できるページもあるので参考にご覧下さい。

 さて、この学校の修学旅行の宿泊先「ロイヤルオークホテル」はホームページを拝見すると高級なリゾートホテルです。まず、中学生には贅沢ですし、密室性が高く教員の目も届かない、農村民泊のように行った地域の方と交流し触れ合うことができない、誤解を恐れずに言えば「無機質」な施設。「高級リゾートホテル」=「何でもホテルがお客様のためにサービスして差し上げます」という施設に泊まるか、農村等(あくまで一例)で主体的に動きながら宿泊するか、学べるものの多さは天と地の差が有ると思います。(参考記事

 「タクシー班別行動」も珍しいものではありませんが、疑問を感じます。班ごとにどこを訪問するか自分たちで考えて動くのは良いのですが、タクシーではなく公共交通機関を利用しルート・時刻表を自分達で組む努力をするようにすべきではないでしょうか?例えば、こちらの「23区内在住で昨年度は中学3年生だった鉄道好きな高校生のページ」の「昨年度の修学旅行の記事」を読み進むと、班別自由行動も公共交通機関を活用しているようで、これが当然の姿と思います。こちらのブログ主の「今時の修学旅行事情」に同感!こちらの意見にも現実的に難しいものの、趣旨としては共感します。

 費用も内容と比較して割高です。「パック旅行ではなく手配旅行だから割高になる」とか「大人数で2泊3日の行程を手配するのは、かえって困難でコストがかかる」といった説明を聞きますが、今回の行程を見ると内容的には市販のパック旅行にオプションが付いた程度で、そうした行程にわざわざ割高な経費をかけて学年ぐるみで参加する意味が不明です。仮に修学旅行の姿を今と変えないで実施するにしても、こちらの「パック旅行を活用した修学旅行」のように様々な工夫でコストダウンが可能です。

 あらゆる面で、修学旅行の在り方を見直すべきと考えます。ご意見や体験談等ありましたら、宜しければお寄せ下さい。

(修学旅行を知るための参考資料をいくつか)
(財)日本修学旅行協会
平成16年度の修学旅行実施状況等の「調査集計結果の分析と考察」
名古屋市立小学校の修学旅行の状況

★修学旅行はもっと、「学を修める」旅行であるべき、とお考えの方はこちらを押して下さい。
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posted by 小坂英二 at 00:00| Comment(5) | TrackBack(1) | 教育・子育て環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今でも教師へのキックバック(業者費用持ちの教師の家族旅行など)あるのでしょうね。
公務員なのに・・・。だから修学旅行の費用が安くならないとも言われていますしね。

以前、学校に教材を卸している業者の方とお話をしたことがありますが、何の問題意識も持たず業者の方に色々要求するようですよ。
Posted by 大断言 at 2005年09月11日 16:31
今の時代に、こんな高額の費用を使って、団体旅行する意味は全くないでしょう。修学旅行全廃でいいんじゃないでしょうか。
Posted by kumin at 2005年09月11日 18:04
ご無沙汰しております。

確かに現在の若い人に何が必要か?よく考えれば、”公共の社会学”は必須だと考えます。修学旅行は単なる物見遊山では、家族旅行と変わらないような気がします。農村などはたとえ働き手にならなくても、若者に話をし、コミュニケーションの労をとってくれる”人生の先輩”も多いのではないでしょうか。
Posted by フレンチフリゲート at 2005年09月15日 08:30
昨今「自分らしさ」など個性を主張する気風があり、
それのすべてを否定するわけではありませんが
しかしながらそれにより、仲間意識や和を保つといった気配り、思いやりなどが失われていっている気がします。
「みんなと共に食事をし、風呂に入って一緒に寝る」
こんなのができるのは修学旅行などほんの限られたときしかありませんが、
最近は仲のいいもの同士2人1部屋などのほんの少人数でホテルの個室を使うなど、
集団生活を送る機会が失われつつあるように感じます。
Posted by at 2005年09月15日 22:01
>Posted by at 2005年09月15日 22:01
>仲間意識や和を保つといった気配り、思いやりなどが失われていっている気がします。

わたしもそう思いますね。

現代の課題は「自分らしさ」を磨きつつどのようにして他者との和を保つのか、につきると思います。

個性ばかりが偏重されてその個性がどのように社会に浸透するのか、という視点が少し欠けているような気が私はしますね。
Posted by at 2005年09月16日 10:23
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Tracked: 2005-09-11 18:46