2005年11月02日

嘘を教える地図帳・・・日本政府の二重基準

 今年の夏は平成18年度から中学校で使用する教科書の採択をめぐって様々な動きが有りました。荒川区においても7月29日の記事に書いた通りですが、もう一つ関連して問題提起を。

 文部科学省の検定を通過し中学校で使用される予定の世界地図帳についてこちらの記事をリンク先も含めてまずじっくりご覧下さい。台湾と中華人民共和国の間に境界線が引かれていませんし、「中国の人々」「中国の行政区分」では一つとして扱われています。小坂が申し上げるまでも無く台湾に対して中華人民共和国が支配権を及ぼしたことは歴史上1秒も有りません。2300万人の人口を有する台湾国は民主的な選挙を行い、中華人民共和国とは全く別の独立国として歴史を刻んできました。

 そうした歴史を全く無視し、実態とかけ離れた形で、中学校で「台湾は中華人民共和国の一部」といった中華人民共和国(以下、中共と略)の政治的プロパガンダを垂れ流す教材を使用することは、生徒を誤った知識によって洗脳することに他なりません。

 確かに、昭和47年に中共と日本国政府で結んだ日中共同声明では、リンク先にある通り、第3条で「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項に基く立場を堅持する。」と謳われています。これがよく「日本政府は一つの中国の原則に基づいて対応している」といった根拠となっています。しかし、「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項に基く立場を堅持する。」という言葉は、中共の立場を尊重はしても中共の台湾支配は承認はしていないということです。
 
 今でこそ蜜月になっていますが、かつて激しく対立して正当性を争っていた朝鮮半島の2国について見てみましょう。日本と韓国は昭和40年に日韓基本条約を結び、リンク先にある通り、「第三条 大韓民国政府は、国際連合総会決議第一九五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。」といった条文で朝鮮半島において韓国のみが唯一の合法的な政府である旨を明確にしています。この条文を杓子定規に当てはめれば、地図帳においても朝鮮半島全体を「大韓民国」と記載し北朝鮮は存在しないように表現することになります。しかし、良い悪いは別にして朝鮮半島の北部は金正日を中心とする犯罪者集団が実効的に支配しており、この事実を無視した地図帳を学校で使うべきではありません。現に朝鮮半島についてはどの地図を見ても両国が併記されています。当たり前ですが・・・。

 この当たり前がなぜ、台湾については当てはめられないのか?日本政府や経済界の事大主義(強いものに媚を売る)に他ならないと言わざるを得ません。2300万人の小国より13億人の大国の機嫌をとっておいたほうが政治的にも得策、経済的にも利益を得られます。でも、それでよいのでしょうか?日本に強い親近感を持つ人が多く、過去の軍事政権の歴史と決別した民主主義国家台湾に冷徹な姿勢を示す一方、チベット(参考記事)や東トルキスタン(まとめサイト)といった独立国を武力で侵略・占領し現在も虐殺・処刑・収監による著しい人権侵害を起こし、反日教育を徹底しながらも経済的利益だけは求める中共の機嫌を伺う姿勢は「誇りを持つ日本人の国家、日本としての国のあるべき姿」とかけ離れています。あるべき姿に向けて活動を進めていきたいと考えています。

 地図帳だけでなく、台湾の方は自国の存在を日本国内の多くの場で否定されています。例えば荒川区の「国籍別外国人登録者数」(平成16年4月1日)の表を見てみましょう。全体で13,164名。国別内訳を見ると韓国・朝鮮が7,324人、中国が4,053名、フィリピンが637名・・・と続いていますが、「台湾」という区分が有りません。北朝鮮については日韓基本条約での扱いや日本が国家承認もしておらず、外交関係も結んでいないにも関わらず「朝鮮」という形で入っているのにです。外国人登録証、国政調査での回答・・・様々な公的書類で台湾人は全て「中国」扱いです。

 先ほどのページこちらの「台湾の声」、「中華民国。台湾のページ」にそうした不合理な事実が多数書かれていますので、お時間の有る方は是非、ご覧下さい。

 国連においても、北朝鮮、韓国が平成3年に加盟しているにも関わらず、常任理事国に中共が居座って圧力をかけていることから、台湾が加盟することができません。伝染病に国境は無いのにWTO(世界保健機構)に加入することもできず、国際的な枠組みに入れないため様々な支障が出ています(参考記事)。台湾は国連に加盟してしかるべきです(参考記事)。
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こうした不合理に日本政府も正面から取組むべきです。それは正義を貫くという意味も有りますし、日本にあらゆる面で言いがかりをつけてくる中共を牽制するカードという意味も有ります。こうした問題を何ら報道しないで中共の顔色ばかりうかがうマスコミに「報道機関」を名乗る資格が無いことを最後に申し上げておきます。

★台湾国の存在を認める、国連加盟を進めるべき、とお考えの方はこちらを押して下さい。
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posted by 小坂英二 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(3) | 朝鮮半島・支那関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昔台湾の方に親切にしていただいた時がありまして、パスポートの話になったときに国籍は中国みたいだけど台湾は中国の一部なの?と聞いた時台湾は中国じゃないと悲しそうに言っていたのを思い出しました。何も知らないとはいえ本当に可哀想な事を言ってしまいました。
今の日本の中国や韓国に押さえつけられている状況がわかっているからこそ台湾の存在を日本政府に認めてほしいと思います。
Posted by 猫好き at 2005年11月12日 05:30
李登輝・台湾前総統が新刊本『(共産党についての九つの論評)九評共産党』を署名推薦

http://www.hakudai.jp
Posted by 九つの論評 at 2005年11月16日 15:28
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