さて、荒川の堤防決壊が危惧されるところの代表格としてよく話に出るのが京成電鉄本線の荒川橋梁ですが、その関連の話です。何故、危険性が高いかについては、こちらの記事(1〜7まで記事有り)に詳しく記載されています。簡単に書けば、広域的な地盤沈下(最大4.5m)によって京成電鉄荒川橋梁自体も沈下(最大3.4m)してしまい、その存在によって堤防全体をかさ上げすることが不可能になっているからです。解決策は橋梁を掛け替えること。
同様の問題を抱えていた京成電鉄押上線荒川橋梁においては、既に平成14年に架け替えが完了(詳細はこちら)しています。
それでは、京成電鉄本線の荒川橋梁の対策はどうなっているかというと、平成20年度に環境アセスメントを開始し、掛け替え着工に向けた準備を始めているという状態です。平成20年度〜22年度で環境アセスメントを終え、23,24年度に用地取得と詳細設計、25年度に着工、そして着工から完成には約10年がかかるとか・・・(つまり平成35年度頃にやっと掛け替え完了・・・)。
現在の鉄道橋の上流に鉄道を移し、橋の高さも3.7mかさ上げします。
単に橋を架けかえるだけでなく、堤防付近の鉄道線路を高架構造とすることによって、今までの「鉄道による街の分断」から決別し新たな街づくりをする意図もあるようです。
こうしたご報告をする意図は、「行政が進める氾濫対策は時間がかかること」「それ故、現在の荒川の状況は巨大な浸水被害を引き起こす危険性は厳然と存在し、行政としての広報・対策の充実と共に区民一人一人が危機感を持って対応を考えておくことが不可欠」だということをお伝えしたいということです。
荒川区では「荒川区洪水ハザードマップ」を作成、配布するなどしていますが、浸水時の避難所が確定・記載されていないなど不十分なもので、そうした点について度々改善を求めています。また葛飾区では区内の電柱にこちらの記事に記載されているような、「荒川氾濫時には水はここまで来ますよ」という区民が実感を持ってその状態を想像できる表示がなされています。これも一つの手だと思います。そうした具体策を今後も委員会等で問題提起していこうと考えております。
水害に備えた心構えや対応はこちらを参考になさってください。
荒川に限らず、関東全域の河川の氾濫想定については、こちらのページからそれぞれ見ることができますので、区外の方もご自身の生活域の近くの河川の危険性についてこの機会に考えていただけると幸いです。
荒川の氾濫に備え行政は役割を十分果たすと同時に、区民一人一人も危機感と当事者意識を持ち備えを考えておくことが不可欠!、という方はこちらの2つのボタンを押してください。